Scratchやロボット工作で、子どもが手を止める場面はよくあります。
「何を作ればいいか思いつかない」「動かないけど理由が分からない」「親が教えられなくて進まない」。
この記事では、生成AIを親子の学習サポート役として使い、作品づくりを前に進める方法をまとめます。
Scratchのアイデア出し、ストーリーづくり、バグ取り(デバッグ)、ロボット工作の改善まで、家庭でそのまま使える声かけと質問例も紹介します。
結論:生成AIは「答えを出す先生」ではなく「質問を一緒に作る相棒」として使う
- アイデア出しは、条件を小さく決めてAIに候補を出してもらうと進みます。
- デバッグは、現象を言葉にしてAIに整理してもらうと、原因に当たりがつきます。
- 親は教えなくて大丈夫です。子どもが自分で説明できるように、質問の形を整える役に回れます。
- 安全面は、入力する情報と使い方のルールを決めれば管理できます。
そもそも生成AIで何が変わるのか
生成AIは、会話の中で文章やアイデア、手順を提案してくれるツールです。
プログラミング学習で役立つのは、正解を当てる力ではなく、考えを整理して次の一手を作る力が増えることです。
たとえばScratchで詰まる子は、頭の中にやりたいことがあっても、手順や条件に分けられていないことが多いです。生成AIに状況を説明するだけでも、やりたいことが小さなステップに分かれ、試せる形になります。
家庭での基本ルール:まずは3つだけ決める
便利な反面、使い方があいまいだと「AIの言う通りにするだけ」になりやすいです。親子で最初に次の3つを決めると安心です。
- 個人情報は入れない。名前、学校名、住所、顔写真、アカウント情報は入力しません。
- AIの答えは鵜呑みにしない。必ず自分で試して確かめます。
- 聞き方の型を決める。目的、今の状態、困っていることを順に伝えます。
公的機関でも、子どもの生成AI利用は安全配慮とリテラシー教育が重要だと整理されています。家庭では「入力しない情報」と「試して確かめる」を徹底すると現実的です。
参考:文部科学省 初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(2023、2024)
使い方1:Scratchの「作品アイデア」をAIで出す
アイデア出しで大事なのは、自由に考えることよりも、条件を少し決めることです。条件が決まると、子どもは作り方を思い出しやすくなります。
親子で決める3条件
- 主人公は何か
- 舞台はどこか
- ルールは1つだけ
たとえば、主人公はネコ、舞台は宇宙、ルールは障害物をよける、のように決めます。
AIへの質問例
次の条件でScratchのゲーム案を10個出して。小学生向けで、操作は矢印キーだけ。主人公はネコ、舞台は宇宙、ルールは障害物をよける。難しさが少しずつ上がる工夫も入れて。
子どもが前に進む選び方
- 10個のうち1つを選ぶのではなく、面白い要素を2つ混ぜます。
- 最初の完成形は小さくします。ステージ1だけ、敵1体だけ、などにします。
子どもが「これなら作れそう」と言えるサイズに落ちると、手が動き始めます。
使い方2:ストーリーづくりをAIで手伝う
Scratchはゲームだけでなく、アニメや物語でも「作る→直す→見せる」が回ります。ストーリーは、起承転結よりも、場面を3つに分けると作りやすいです。
- はじめ:登場人物と目的
- まんなか:困りごとが起きる
- おわり:解決して変化する
AIへの質問例
小学生がScratchで作れる短いアニメの台本を作って。登場は2人まで。場面は3つ。セリフは短く。最後にオチがあると嬉しい。舞台は学校の図書室。
親の声かけ例
「このセリフ、読みやすいかな。短くしてみる?」
「場面2で何が起きたら、場面3が気持ちいい?」
親が物語を決めるのではなく、子どもが選べる質問にすると主体性が残ります。
使い方3:ScratchのデバッグをAIで進める
デバッグは、動かない理由を見つけて直す作業です。小学生にとって難しいのは、原因探しよりも、現象を言葉にすることです。生成AIは、状況説明を整理するのが得意です。
まず子どもに言葉で言ってもらうテンプレ
- やりたいこと:何をしたいか
- 今起きていること:何が起きているか
- 起きてほしくないこと:何が困るか
- いつから:どこを変えた後に起きたか
AIへの質問例
Scratchで困っています。やりたいことは、ネコがリンゴに触れたらスコアが1増えて、リンゴが別の場所に移動すること。今起きていることは、スコアは増えるけどリンゴが動かない。さっき変えたのは、リンゴのスクリプトに「ずっと」と「もし」を追加したこと。原因の候補を3つ出して、確認手順も教えて。
AIの答えを「試す」順番
- まずは見た目で分かるところ。ブロックがどのスプライトについているか。
- 次に条件。触れている判定がどちら側に書かれているか。
- 最後にタイミング。同時に動かす処理がぶつかっていないか。
この順で試すと、当てずっぽうの修正が減ります。
使い方4:ロボット工作の「改善案」をAIで出す
ロボットや電子工作は、正解が1つではありません。動きが不安定、曲がる、止まるなどの現象が起きやすいです。生成AIは、原因の可能性を広げてくれます。
AIへの質問例
小学生の工作で、モーターで走る車を作っています。床の上でまっすぐ走らず右に曲がります。材料は段ボール、ペットボトルキャップの車輪、竹串の車軸、輪ゴム。原因の候補と、家にあるものでできる改善案を5つ教えて。安全に注意する点も入れて。
子どもに返す問い
「まず1つだけ変えるなら、どれを試す?」
「変えた前と後で、何がどう変わった?」
試行錯誤を言葉で説明できるようになると、学びが積み上がります。
低学年と高学年で、AIの使い方は少し変える
低学年は「選ぶ」中心
- AIに案を出させ、子どもは3択から選びます。
- 文章は短く、操作も少なめにします。
- 親は入力係でも十分です。子どもの言葉をそのまま打ちます。
高学年は「説明する」中心
- 困りごとを自分の言葉で説明させます。
- AIに確認手順を出させ、検証の順番を自分で決めます。
- 作品の発表文や改善メモもAIで整えられます。
よくある心配と、現実的な対策
ゲーム依存みたいにならないか
制作は遊びに近いので、熱中しやすいです。心配な家庭は、時間ではなく区切りで終えると管理しやすいです。
例:バグを1個直したら終わり、ステージ1ができたら終わり、など。
AIが間違ったことを言わないか
間違います。だからこそ、家庭では「試して確かめる」を前提にします。
子どもには「AIはヒント係。正しいかは自分で決める」と伝えると、受け身になりにくいです。
親がITに詳しくないと無理では
詳しくなくて大丈夫です。親の役割は先生ではなく、環境づくりと質問の補助です。
子どもが詰まったら、手を動かす前に「今なにが起きてる?」を一緒に言語化するだけでも効果があります。
スクール選びのチェックリスト:生成AI時代に見たいポイント
- 作品づくりが中心で、作って終わりではなく改善までやるか
- 講師が答えを教えすぎず、質問と検証の仕方を育てるか
- 少人数などで、つまずきに具体的なフィードバックがあるか
- 家庭学習のサポートや振替など、継続しやすい仕組みがあるか
- オンラインの場合、連絡手段やルールなど安全面の設計があるか
生成AIを使うかどうかより、作る過程で考え方が身につく設計かが重要です。
家庭で続けるのが不安なら、プロの伴走も選択肢
家庭だけで進めると、最初はうまくいっても、途中で難度が上がり、詰まりが増えることがあります。
そのときに、作品づくりとデバッグの進め方を知っている大人が伴走すると、子どもは「自分で直せた」という成功体験を積みやすくなります。
Kids with Codeでは、作品づくりを軸に、つまずきの言語化や改善のプロセスを大切にした学習を確認できます。
教室やオンラインなど提供形式、カリキュラム、学年に合う進め方は、公式ページで最新情報を見るのが確実です。
Kids with Codeのカリキュラムや体験・相談の詳細を見る
まとめ:生成AIは親子の会話を増やし、作品を前に進める道具になる
- アイデア出しは条件を小さく決め、AIに候補を出させると進みます。
- デバッグは現象を言葉にしてからAIに聞くと、確認手順が見えます。
- 親は教えるより、子どもの説明を手伝う役が現実的です。
- 安全は、個人情報を入れない、試して確かめる、の2点が要です。
次にやることは簡単です。
子どもの作品で今いちばん困っていることを1つ決め、この記事の質問例を使って生成AIに聞いてみてください。5分で次の一手が見えることがあります。
家庭だけでの継続が不安な場合は、体験や相談で「うちの子の今の段階に合うか」を確認するのも一つの方法です。
