「プログラミングを習わせているけれど、結局何ができるようになるんだろう?」

そんな風に、ふと立ち止まって考えてしまうことはありませんか。

周りのお友達が「ゲームを作ったよ」と聞けば、なんとなく焦りを感じたり。一方で、わが子がパソコンの前でずっと悩んでいる姿を見ると、「これって本当に意味があるのかな?」と疑問に思ったり。

タイピングが速くなること? ゲームが作れるようになること? それとも将来、エンジニアになるため?

もし今、あなたがそんな「モヤモヤ」を抱えているとしたら、それはとても自然なことです。なぜなら、プログラミング教育という新しい学びの中で、「目に見える成果」と「本当に大切なこと」の区別をつけるのは、とても難しいことだからです。

今日は、プログラミングという学びを通じて、小学生という大切な時期に、お子さんの中にどんな「芽」が育っているのか。その本当の価値について、少し整理してお話しさせてください。

多くの親がイメージする「プログラミングの成果」

まずは、私たちがつい期待してしまう「プログラミングの成果」について考えてみましょう。

  • 画面の中でキャラクターが動くゲームが完成する
  • 大人顔負けのコード(命令文)を書く
  • 検定やレベルアップで目に見える級が上がる

こうした「目に見えるもの」は、親にとっても、そしてお子さん本人にとっても、わかりやすい達成感になります。それが悪いわけでは決してありませんし、本人の自信につながる素晴らしい要素の一つです。

けれど、実はプログラミングという学びの本当のすごさは、その「完成品」の裏側に隠れています。

完成品の裏側にある「考え方」の成長とは

小学生のお子さんがプログラミングに向き合っているとき、画面上でコードが一行も増えていなくても、頭の中では驚くほどたくさんのことが起きています。

それは「コードの書き方」を覚えることよりもずっと重要で、大人になってからも役に立つ「考え方」です。

1. 順序立てて、物事を整理する力

たとえば、キャラクターを右に動かしてから、ジャンプさせる。たったこれだけでも、「まずこれ、次にこれ」って順番を考えていますよね。これって、明日の学校の準備をする時や、工作で箱を組み立てる時と、実は同じなんです。

2. 「まずは試してみる」という姿勢

「こうしたらどうなるかな?」と仮説を立て、実際に動かしてみる。うまくいかなければ「じゃあ、次はこっちを試そう」と工夫する。

この「試して、直す」というプロセスは、パズルでピースを当てはめていく感覚に似ています。

3. 「自分の意志」で決める経験

プログラミングの世界には、唯一絶対の「正解」はありません。キャラクターの色をどうするか、どんな音を鳴らすか、すべてはお子さん自身が決めていいのです。

「自分で決めた通りに動いた!」という経験は、小さなことかもしれませんが、自分を信じる力になります。

こうして見ると、プログラミングは決して特別なものではなく、工作やパズル、あるいは日々の遊びの延長線上にあるものだと感じられませんか?

なぜ「完成したかどうか」だけを気にしてしまうと、大事な時間が見えなくなってしまうのか 

親としては、「今日は何を作ったの?」って、つい聞きたくなりますよね。でも、もし「完成したかどうか」だけを気にしてしまうと、その途中にある大事な時間が、見えなくなってしまうことがあります。

「早く終わらせなきゃ」と焦ったお子さんは、自分で考える前に「ねえ、答えを教えて」と言うようになるかもしれません。それは、誰が悪いわけでもありません。

「早く見せてあげたい」というお子さんの優しさと、「ちゃんと身についてるかな」という私たちの不安が、知らず知らず、ちょっとしたプレッシャーになっているだけなんです。 

完成というゴールにたどり着くまでの、迷いや失敗の道のりこそが、一番栄養のある学びの時間なのです。

コードが書けるようになるのは、もっと後でいい

「でも、いつまでもこんな調子で大丈夫?」と不安になるかもしれませんね。 でも大丈夫です。小学生という時期は、いわば「土を耕している」季節なんです。

今はまだ、プロのようなコードを完璧に書ける必要はありません。今は、「自分の手で何かを変えられるんだ」「工夫するのって楽しい」という感覚を、心の中にたっぷり貯めておく時期。それだけで十分なんです。

これは、畑で野菜を育てる時と似ています。土が豊かであれば、やがて時期が来た時に、芽は自然と、力強く伸びていきますよね。私たちは少しだけ、のんびり眺めていてもいいのかもしれません。

「できること」より「考えていること」を見てあげてほしい

今日、最後にお伝えしたいことは一つだけです。

お子さんがプログラミングに取り組んでいる時、どうか「何ができたか」という結果よりも、「今、何を考えているんだろう?」という過程に目を向けてあげてください。

たとえ、その日の終わりに目に見える作品が完成していなくても。

「今日はここを悩んでみたんだね」「さっきと少し変えてみたんだね」

そんな風に、目に見えない努力に光を当ててあげるだけで、お子さんの学びはぐっと深いものになります。

その時にお子さんが一生懸命に考えた「経験」は、ずっと残り続けます。

もし、お子さんが「うまくいかない!」と投げ出しそうになっていたら。

それは、彼らが今まさに、自分の力で「壁」を乗り越えようとしている、とても尊い瞬間なのです。

そんな時、私たちはどう声をかけてあげればいいのでしょうか。

次回は、失敗して立ち止まってしまったお子さんへの、具体的な「心の寄り添い方」について、一緒に考えていきましょう。

あなたのお子さんが、今日も何かに挑戦して、悔しがっているとしたら。

その姿は、きっと誰かの「理想の学びの姿」そのものです。


「失敗してもいい」、「考える時間を大切にする」。
そんな考え方のもとで行われているプログラミング教室をお探しの方へ。
考える力を育むプログラミングスクール Kids with Codeの考え方を見る